大人になることのむずかしさ。
どうすれば大人になれるのか?
はい!これ、最近の僕の疑問です!
今日は多くの地域で成人式が催されたということもあり、特に考えてみました。
みなさんは思いませんか?思ったことはないですか?
何を以て大人となるのか?
改めて問い直してみると、すごく難しい問いであることがじわじわ実感できます。
・二十歳となり、成人式を迎えたら大人?
・いやいや18歳から選挙権あるから、18歳から大人だ!
・経済的に自立できたら、その時点で大人だよ。
いろんなことが考えられそうですね。
そこで、この本の出番です。
この本は、思春期から青年期にかけての心の変化。それに伴う様々な行為にはどんな背景があるのか?ということがかかれています。
著者である河合隼雄さんのもとにきた、子を持つ親からの様々な相談を引き合いに出し、若者が直面する課題を掘り下げていきます。
初めにいっておくとこの本は、「親、友人、恋人といった、あらゆる人間関係を深く考えることができる名著です」
筆者はこの本の中で、
明確な通過儀礼(イニシエーション)がなくなり、どこからが大人なのか?自分は何者なのか?ということを確認する機会がないことを挙げています。
たしかに、成人のための儀式ってないですよね。成人式があるじゃん!ってなるかもしれませんが、あれってただ、着飾って式典にでて、終わったら同窓会にいって飲んで騒ぐだけじゃないですか笑。
そんなものじゃなくって、もっと本質的なモノ。それが大事になってくる。
河合隼雄先生はここで、「自分のコントロールを超えた、超越的な存在を認識すること」の重要性を語ります。
これは別に宗教に入って特定の神様を崇めることを言っているのではなく、世の中のありとあらゆる理不尽をどうにか受け入れることを意味しています。
確かに、自分にまったく非がないのに、思いがけない不幸や困難に見舞われることってありますよね。そういったことを諸々受け入れて生きることも、大人であることの条件だと筆者は語ります。
さらに、僕が特に目から鱗だったのは、「人とのつながり」という章に書かれてあることです。
この章では、仲の良い青年同士が、ちょっとしたことで突然口論となり、仲違いしてしまう例を引き合いにだしています。大学生の青年Aと、既に社会人となって働いている青年の二人です。
この二人は、お互いの下宿をたびたび訪問し合ったり、一緒にメシをくったりするような、いわば親友。いつメンと呼ばれる類の関係です。
ですが二人の間に亀裂が生じます。
理由は大学生のA君のことを、大学に行かなかった彼が密かに羨ましく思い、その気持ちが変な方向に発展して「大学に行ってるのにこいつは自分のことすらしっかりできねえのか!」と、心の中で少しづつ見下し始めたから。
友人関係って、対等な関係を保てなくなると崩れてしまいます。
でもあるとき、お互いのモヤモヤを打ち明けると、すぐにまた仲良くなりました。以前より増して仲良くなります。
河合隼雄先生はこれを「影の共有」という言葉で表現しています。「お互いの暗い部分を共有することで、腹の探り合いがなくなってスッキリするのです」。これって経験ありませんか?
こういったことが、大人になるための大事な一歩だと筆者は語ります。大切な人と良い関係を築いていけることは、大事なことです。
この章で筆者は「単純に他人を避難せず、生じたことを”我がこと”として引き受ける力を持つことこそ、大人であるための条件だ」と仰っています。この部分は特に、心の底から共感しました。ずっと大切にしていたい。
本書を読んで、ぼくなりに「大人とは何か?」をまとめると
「自分以外の人たちも同じ世界を生きていることを受け入れること」
他人を思いやれ!自己中ではダメだ!とかそんなことではないんです。
ただ、自分以外のたくさんの人も、この世で生きているという、ごく当たり前の事実を認めることが大人になるということではないか?
そんな風に思いました。
最後に、本書の中でもっとも励まされた部分を記しておきます
大人になるという決められた目標があり、そこに到達するというよりは、自分なりの道をまさぐって苦悶する過程そのものが、大人になることなのである。